こんにちは!C.Cです。

今回は私が医療用医薬品情報検索アプリを作成しようとして挫折した話になります。

これが医薬品業界の闇なのか?

この記事では医療関係の機材が高額になりがちな理由を垣間見えるかもしれません…

この記事でわかること

・流通してるバーコードはかなり奥が深い

・個人で医療系のアプリを作るのは困難

・医療系のアプリを作りたいなら会社でやるべし!

スポンサーリンク

医療用医薬品情報検索アプリ 「おくすりサーチャー(仮)」

医療用医薬品情報検索アプリ 「おくすりサーチャー(仮)」は

PMDAの添付文書の電子化のページを見てバーコードから添付文書やIFフォームなどの医薬品情報を検索できることを知り、

EXPOのライブラリにはexpo-barcode-scannerがあるから、個人でも医療用医薬品情報検索アプリ(ヤクチエ添付文書添文ナビ みたいなやつ)を作れるんじゃないかと思い至ったが

いくつもの高い壁があるためリリースすることがなかった幻のアプリケーションです(笑)

スポンサーリンク

「おくすりサーチャー(仮)」の開発に失敗した理由

医療用医薬品のバーコードが読み取れない

まずexpo-barcode-scannerは結構優秀なライブラリです。

2023年12月現在で19種類のバーコードを認識できます!他にもバーコードスキャンのライブラリは存在しますが結構多い方です。

QRコードはもちろん一般的な食品やおもちゃなどについているバーコードも読み取れるため、アマコードみたいなアプリなら実装次第で作成できると思います。

下記のようなバーコードなら読み取り可能

ean13

Nintendo Switchのバーコード

ean8

ニトリ A4ファイルスタンドのバーコード
タイプ桁数商品(例)
ean13(GTIN-13)13桁Nintendo Switchの箱
ean8(GTIN-8)8桁ニトリのA4ファイルスタンドワイド

ではなぜ医療用医薬品のバーコードを読み取れないのか?

それは日本の医薬品についているバーコードが国際基準ではあるものの世界的にあまり使われておらず日本独自の運用をされているからです。

医療用医薬品には主に下記のような2種類のバーコードで一般的な商品につけられることはありません。

GS1データバー限定型

アスベリン錠20 GS1データバー限定型

GS1データバー二層型合成シンボル

オーアイエフ500万IU GS1データバー 複合シンボル
タイプ桁数商品(例)
GS1データバー限定型(GTIN-14)(01)14桁今は超貴重なアスベリン錠20mg❗のPTPシート
GS1データバー二層型合成シンボル(GTIN-14とCC-A)上段:(17)消費期限(10)ロット番号
下段:(01)14桁
オーアイエフ500万IUの外箱

(※もっと詳しくバーコードに知りたければGS1標準バーコードベーシックガイドを見てほしい!)

GS1データバーをスキャンできるライブラリが超高額

GS1データバーをスキャンできるライブラリがないかしらべた結果何件かヒットしたものの全て有料のもので個人が手を出せそうなものはありませんでした。

EXPOで使えるかはさておき下記のようなものがあります

ライブラリ名価格個人販売
KXABarcodeReader Library450,000円(税別)
GR-GS1 DataBar ソースコード・ライブラリ不明たぶん❌
Ultimate UI for Windows Forms170,000円前後/年⭕❓

ちょっと個人じゃ手が出せません…

惜しかったライブラリ

おそらくEXPOでは使えませんが非常に惜しいと思ったライブラリです。

ライブラリ名価格特徴
zxing無料Android限定
GS1データバー標準型、GS1データバー拡張型の読み取りが可能!
しかしGS1データバー限定型には対応してなかった…

医薬品データベースも個人では難しい

まずは無料で入手できるものから紹介します。

個人でやる場合は医薬品データベースを下記のような情報から必要な部分だけを組みわわせて作成しなければなりません。

どの情報源からでも薬価基準収載医薬品コードや医薬品販売名が記載されているため照合は可能です。

ソースDB名主な情報
厚生労働省薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報区分
薬価基準収載医薬品コード
成分名
規格
品名
メーカー名
先発・後発
先発で同一の後発があるか?
薬価
経過措置による使用期限
備考
一般財団法人 医療情報開発システムセンター医薬品HOTコードマスター基準番号(HOT番号)
JANコード
薬価基準収載医薬品コード
個別医薬品コード
レセプト電算処理システムコード(1)(2)
販売名
規格単位
包装形態
区分
製造会社
…etc(全24項目)
一般財団法人 医療情報開発システムセンター販売名・調剤包装単位ファイル全32項目
詳しくはコチラ!
一般財団法人 医療情報開発システムセンター調剤包装単位・販売包装単位・元梱包装単位ファイル全36項目
詳しくはコチラ!

しかし、良いアプリを作ろうと思ったら上記のデータベースだけでは物足りさを感じます。

剤形の写真や添付文書情報の【禁忌】とか【効能・効果】をテキストで取得してアプリで表示したくなりますよね?

ですが、これらのデータを得ようと思ったら全て有料になります。

個人利用ができるのは薬事日報のDBくらいですが、わりと十分な情報が得られます。

その他はBtoBとして企業を相手にしている会社さんなので、ホームページからでは値段はわかりませんし個人利用は不可能でしょう。

ソースDB名特徴価格個人利用
薬事日報「剤形写真」
「注射薬写真」
「患者服薬指導
説明文」
剤形の写真だけでなく、用法用量、効能効果、服薬指導説明文などの情報も取得できる。
初期導入とランニングコストが低めで個人でもなんとか手が届く唯一のDB
初期費用+4回分/年のアップデート:15,000円

次年度以降 4回分/年のアップデート:7,500円
おそらく⭕
MDBMDB医薬品マスタ
MDB版一般名処方マスタ
…etc
DLL、Web APIサービスによる提供が可能不明
会社規模により変動
おそらく❌
データインデックス株式会社全40種のDB提供形態を選択可能:CSV等のテキスト形式、Web APIなど不明DIRお問い合わせ
株式会社ズーYAKUGENDBは毎月更新、APIによる提供も可能不明おそらく❌

医薬品DBの代替案になりそうなもの

ChatGPT

ChatGPTでは「アムロジン錠5mgの【禁忌】と【効能又は効果】と【用法・用量】、【錠剤の画像】をJSON形式で返してください。」のように検索をかけてみると下記のように情報を返してくれました。

{
  "薬品名": "アムロジン錠5mg",
  "禁忌": [
    "妊娠中の患者",
    "アムロジピンや他のジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬に対する過敏症のある患者",
    "重度の低血圧の患者"
  ],
  "効能又は効果": [
    "高血圧症の治療",
    "効能又は効果その他の高血圧症の治療に"
  ],
  "用法・用量": "通常、1日1回、5mgを食前または食後に経口投与。患者の状態により適宜調整。",
  "錠剤の画像": "画像は提供できません"
}

Bard

Bardでも同様に「アムロジン錠5mgの【禁忌】と【効能又は効果】と【用法・用量】、【錠剤の画像】をJSON形式で返してください。」で検索をかけてみると下記のように情報を返してくれました。

【錠剤の画像】にURLが載っていますが残念ながらクリックしても写真は表示されません。

{
  "禁忌": [
    "アムロジピン又はジヒドロピリジン系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者"、
    "重度左室心不全(NYHA分類III度以上)の患者"、
    "高度狭心症の患者"、
    "慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪期の患者"、
    "末梢虚血性疾患(バージャー病、レノックス・ガストン病)の患者"、
    "妊婦又は妊娠している可能性のある女性"、
    "授乳婦"
  ],
  "効能又は効果": [
    "高血圧症"
  ],
  "用法・用量": {
    "通常、成人にアムロジピンとして1回0.5〜1錠(2.5〜5mg)を1日1回経口投与する。なお、効果不十分な場合には、1日1回2錠(10mg)まで増量することができる。"
  },
  "錠剤の画像": "https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/53/Amlodipine_5_mg_tablets.jpg/1200px-Amlodipine_5_mg_tablets.jpg"
}
スポンサーリンク

以上の問題点から個人で実用レベルの医療用アプリを作るのは困難である。

前述した通り医療用のライブラリやDBは高額で、BtoBでないと契約できないものが多いです。

どうしても本格的な医療用アプリを作りたいならそういう会社に就職するのがてっとり早いでしょう!

(でも私は無料でGS1データバーを読み取れるライブラリがでたらまた挑戦します❗)

調べているうちに困難に立ち向かった仲間をみつけました!

AndroidでGS1データバーをスキャンしようとして諦めた話

参考記事

バーコード関連

添付文書電子化における外箱の符号からのリンクに関する技術的情報.PDF

Expo BarCodeScanner

GS1標準バーコードベーシックガイド

KXABarcodeReader Library

GR-GS1 DataBar ソースコード・ライブラリ

Ultimate UI for Windows Forms

zxing

医薬品データベース関連

薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報

医薬品HOTコードマスター

販売名・調剤包装単位ファイル

調剤包装単位・販売包装単位・元梱包装単位ファイル

薬事日報

MDB

データインデックス株式会社

株式会社ズー

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事